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中古ワンルームの減価償却:耐用年数の簡便法と計算例

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書いた人:運営者(宅地建物取引士・上場不動産会社に10年勤務・現在はサラリーマン大家)

結論

中古の建物は耐用年数を短くできる(簡便法)。

毎年の経費は増えるが、税金が消えるわけではなく、払う時期が後ろにずれるだけ。

簡便法の式

法定耐用年数の途中まで経過

(法定 − 経過)+ 経過 × 20%

全部経過

法定 × 20%

1年未満は切り捨て。2年に満たなければ2年。経過年数は月数で数えてから計算する(年で丸めると1年ずれることがある)。

例:築20年のRC造なら(47 − 20)+ 20 × 20% = 31年。

鉄筋コンクリート造(法定47年)の耐用年数

新築
47年
築10年
39年
築20年
31年
築30年
23年
築47年以上
9年
ほかの構造
構造(法定)新築築10年築20年築30年全部経過
重量鉄骨造(34年)34年26年18年10年6年
木造(22年)22年14年6年4年4年

1年分の償却費(建物1,000万円の場合)

RC造・新築(47年)
22万円
RC造・築20年(31年)
33万円
RC造・築47年以上(9年)
112万円
木造・築10年(14年)
72万円
木造・築22年以上(4年)
250万円
定額法の償却率は耐用年数ごとに決まっている。買った年は使い始めた月から按分(10月なら3/12)。最後は1円を残して終える。

使うときの注意

  • 選べるのは買った年だけ。翌年から切り替えはできない
  • 大きな改修(取得価額の50%超)をすると使えないことがある
  • 設備は別計算:給排水・電気などは別の資産(多くは法定15年。全部経過なら3年)
  • 土地は償却できない:購入代金を土地と建物に分け、建物分だけ償却する

短い耐用年数の良い面と裏面

  1. 経費が大きい

    赤字になり給与と相殺

  2. 償却が終わる

    同じ家賃でも所得が急に増える

  3. 売るとき

    取得費が小さく、利益が大きく出る

  • 赤字の年はふるさと納税の上限も下がる(不動産投資の赤字とふるさと納税)
  • ローンの元金返済は経費にならない。償却が終わると、現金は増えないのに税金だけ増えることがある

要するに

簡便法は税金を「なくす」のではなく、払う時期をずらす効果が中心。保有期間と売るときの税率(5年超かどうか)まで考えましょう。

詳しい解説

建物の減価償却は、構造ごとに決まった法定耐用年数(鉄筋コンクリート造の住宅なら47年)で行います。 ただし中古の建物を買った場合は、築年数を考えて短くした耐用年数を使えます。 その求め方のひとつが「簡便法」です(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 第3条)。 中古ワンルームの収支を見るときは、この年数が償却費の大きさを決めます。

簡便法の計算式

経過年数が法定耐用年数のうちどこまで進んでいるかで、式が2つに分かれます。

法定耐用年数の一部が経過:(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%

法定耐用年数の全部が経過:法定耐用年数 × 20%

1年未満の端数は切り捨て、2年に満たない場合は2年とします。

正確には、経過年数は月数で数えてから式に当てはめ、最後に1年未満を切り捨てます。 築年数を年単位で丸めてから計算すると、月数で計算した場合と1年ずれることがあります。

構造・築年数ごとの耐用年数

構造(法定耐用年数)新築築10年築20年築30年全部経過
鉄筋コンクリート造(47年)47年39年31年23年9年(築47年以上)
重量鉄骨造(34年)34年26年18年10年6年(築34年以上)
木造(22年)22年14年6年4年4年(築22年以上)

たとえば築20年のRC造なら、(47 − 20)+ 20 × 20% = 27 + 4 = 31年です。 木造は築22年以上なら一律4年になり、4年で建物の取得価額を償却し終えます。

償却費の計算例

建物(躯体)部分の取得価額が1,000万円の場合の、1年分(12か月使った年)の償却費です。 定額法の償却率は耐用年数ごとに決まっています。

構造・築年数耐用年数償却率年間の償却費
RC造・新築47年0.022220,000円
RC造・築10年39年0.026260,000円
RC造・築20年31年0.033330,000円
RC造・築30年23年0.044440,000円
RC造・築47年以上9年0.1121,120,000円
木造・築10年14年0.072720,000円
木造・築22年以上4年0.2502,500,000円

買った年は、使い始めた月からの月数で按分します(例:10月に貸し始めたら3/12)。 最後の年は1円(備忘価額)を残して償却を終えます。

簡便法を使うときの注意

  • 選べるのは取得した年だけ:簡便法は、中古資産を事業に使い始めた年に選びます。その年に法定耐用年数で償却した場合、翌年以後に簡便法へ切り替えることはできません。
  • 大きな改修をした場合は使えないことがある:取得後の資本的支出(リフォームなど)が取得価額の50%を超えると、簡便法は使えず法定耐用年数で償却します。
  • 建物附属設備は別に計算する:給排水・電気設備などの建物附属設備は、躯体とは別の資産で、法定耐用年数も別(多くは15年)です。中古なら設備にも簡便法を当てられ、全部経過していれば15年 × 20% = 3年です。
  • 土地は償却できない:区分マンションの購入代金は土地(敷地権)と建物に分け、建物分だけを償却します。売買契約書に内訳がない場合は、固定資産税評価額の比率などで按分します。

短い耐用年数の良い面と裏面

耐用年数が短いほど毎年の償却費が大きくなり、不動産所得が小さく(赤字に)なります。 赤字は給与所得と損益通算でき、所得税・住民税が減ります。その一方で、ふるさと納税の上限も下がります (詳しくは不動産投資の赤字とふるさと納税の上限)。

  • 償却が終わると所得が急に増える:償却費がなくなった年から、同じ家賃でも所得が大きくなります。ローンの元金返済は経費にならないので、手元の現金は増えないのに税金だけ増える状態になりえます。
  • 売るときの取得費が小さくなる:譲渡所得の計算では、取得価額から償却した分を引いた額が取得費になります。早く償却したぶん、売却時の譲渡所得は大きくなります。

要するに

簡便法は税金を「なくす」のではなく、払う時期を前にずらす効果が中心です。保有期間と売却時の税率(所有期間5年超かどうか)まで含めて考えましょう。

よくある質問

Q. 簡便法のほかに耐用年数を決める方法はありますか?

A. 残りの使用可能期間を合理的に見積もる「見積法」があります。見積もりの根拠が要るので、実務では簡便法を使うことが多いです。

Q. 法人でも簡便法を使えますか?

A. 使えます。同じ省令(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)の規定です。

Q. 新築を買った場合はどうなりますか?

A. 法定耐用年数そのもの(鉄筋コンクリート造の住宅なら47年)で償却します。簡便法は中古資産だけの方法です。
構造と築年数を入れると、躯体と設備の耐用年数を簡便法で求め、償却費と税金への影響を年ごとに出します。
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