税金・ふるさと納税

株を申告するとふるさと納税の上限は増える?(申告不要・申告分離・総合課税の比較)

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書いた人:運営者(宅地建物取引士・上場不動産会社に10年勤務・現在はサラリーマン大家)

結論

株を申告すると上限は増える(申告しないと1円も増えない)。

ただし所得が増えたと見なされ、国民健康保険料などが上がることがある。

3つの方式

申告しない

20.315%

源泉徴収で完結。上限は増えない

申告分離課税

20.315%

税率は同じ。上限が増える

総合課税(配当)

累進税率

給与と合算。配当控除あり

令和6年度の住民税から、所得税と住民税で違う方式は選べなくなりました(「所得税は総合、住民税は申告不要」は使えない)。

例:給与800万円・配当60万円・売却益200万円

ふるさと納税の上限

申告しない
130,456円
申告分離課税
167,823円(+37,367円)
総合課税(配当)
176,446円(+45,990円)
独身・40歳未満・社会保険料は給与から概算・その他の控除なし。

所得税+住民税の増減(申告しない場合と比べて)

申告分離課税

+10,210円

基礎控除が減る境目を超えた

総合課税(配当)

−5,960円

配当控除が効く

申告分離で税金が増えたのは、合計所得が610万円 → 870万円になり655万円の境目を超えて、 所得税の基礎控除が67万円 → 62万円に減ったからです(令和8・9年分の境目は489万円と655万円)。

例:給与1,500万円(配当・売却益は同じ)

上限と税額の増減

申告しない
387,351円
申告分離課税
433,527円/税額 ±0円
総合課税(配当)
444,183円/税額 +101,868円
  • 申告分離:株の税率は同じなので税額は変わらず、上限だけ増える
  • 総合課税:所得が高いと累進税率で税金が大きく増える。上限が大きい=得、ではない

本当の損得は税金の外

申告すると「合計所得金額」が増え、税金以外にも響きます。

  • 国民健康保険料:申告した株の所得に、おおむね10%前後かかる(仕組み)。返礼品の得より大きくなることがある。会社の健康保険なら影響なし
  • 配偶者控除・扶養:合計所得900万・950万・1,000万円で配偶者控除が減る。自分が扶養に入っているなら62万円(令和8年分)を超えると外れる
  • その他:保育料、高額療養費の限度額、児童手当など

国保の人は申告の前に確認

国保の料率は自治体ごとに違います。お住まいの市区町村の料率で、保険料がいくら増えるか確かめてください。

申告した方がよいケース

  • 譲渡損失を、ほかの口座の利益や配当と相殺したい
  • 損失を翌年以降3年間繰り越したい
  • 課税所得が低く、総合課税の配当控除で税金が下がる

株だけを申告する人

給与などがなく株の所得だけの人は、上限の計算で所得税率を15%として扱います。 上限は「住民税所得割 × 20% ÷(90% − 15.315%)+ 2,000円」。所得割25万円なら約6.9万円です。

詳しい解説

特定口座(源泉徴収あり)で株を持っていると、配当や売却益の税金は源泉徴収で済んでいて、確定申告は不要です。 一方で、あえて申告するとふるさと納税の上限が増える、という話を聞いたことがあるかもしれません。 結論から言うと、申告分離課税なら株そのものにかかる税金は変わらず、上限が増えます。 ただし、申告すると「合計所得金額」が増えるので、所得で決まる控除や保険料に跳ね返ります。本当に損得が分かれるのはそこです。

3つの課税方式

  • 申告不要:源泉徴収(所得税15.315%+住民税5%=20.315%)で課税が完結する。
  • 申告分離課税:確定申告するが、給与などとは合算せず20.315%で課税。譲渡損失との通算や繰越ができる。
  • 総合課税(配当だけ選べる):給与などと合算して累進税率で課税。配当控除が使える。

令和6年度の住民税からは、所得税と住民税で違う課税方式を選ぶことはできなくなりました。 以前よく紹介されていた「所得税は総合課税、住民税は申告不要」という組み合わせは使えません。

申告しないと、上限は1円も増えない

ふるさと納税の上限は、住民税の所得割額の2割を基準に決まります。 申告しない株の税金は源泉徴収で完結していて、住民税の所得割に入りません。 そのため、どれだけ配当や売却益があっても、申告しないかぎり上限は増えません。 申告すると、株の所得に対する住民税(分離課税なら5%)が所得割に加わり、そのぶん上限が上がります。

計算例:3方式を並べる

独身・40歳未満・社会保険料は給与から概算・その他の控除なしで計算した値です。「税額の増減」は所得税と住民税の合計の変化で、申告しない場合は源泉徴収税額を含めて比べています。 所得税の基礎控除は令和8年分の額(合計所得489万円以下104万円、655万円以下67万円、2,350万円以下62万円)で見ています。

給与収入800万円・配当60万円・売却益200万円
方式ふるさと納税の上限上限の増加税額の増減
申告しない130,456円——
申告分離課税167,823円+37,367円+10,210円
総合課税(配当)176,446円+45,990円−5,960円
給与収入1,500万円・配当60万円・売却益200万円
方式ふるさと納税の上限上限の増加税額の増減
申告しない387,351円——
申告分離課税433,527円+46,176円±0円
総合課税(配当)444,183円+56,831円+101,868円

読み方

  • 申告分離課税は株の税金が変わらない:源泉徴収も申告分離も同じ20.315%です。1,500万円の例では税額も±0で、増えるのは上限だけです。
  • 800万円の例で税金が少し増える理由:申告で合計所得が610万円から870万円になり、655万円の境目を超えます。所得税の基礎控除が67万円から62万円に減り、課税所得が5万円増えるぶん(税率20%、復興特別所得税込み)、所得税が10,210円増えます。令和7年分以後は基礎控除が合計所得で段階的に変わるので、境目(令和8・9年分は489万円と655万円)の近くにいる人は、申告の前に確かめてください。
  • 総合課税は所得によって逆転する:課税所得が低いうちは配当控除が効いて税金も下がりますが、累進税率が高くなる所得帯では税額が大きく増えます。
  • 上限は総合課税が一番大きい:配当に対する住民税が、総合課税では10%(配当控除は上限の計算には入らない)、申告分離では5%だからです。ただし上限が大きいことと得をすることは別です。

本当の損得は税金の外にある

申告すると、株の所得が「合計所得金額」に入ります。これが税金以外のさまざまな判定に影響します。

  • 国民健康保険料:国保の人は、保険料が前年の所得で決まります(仕組みは個人事業主の社会保険料の目安)。申告した株の所得がそのまま保険料の計算に入り、所得割はおおむね10%前後です。ふるさと納税の上限が増える得(返礼品)より、保険料の増加が大きくなることがあります。会社の健康保険の人は、保険料が給与で決まるので影響しません。
  • 配偶者控除・扶養:合計所得が900万・950万・1,000万円を超えると配偶者控除が減り、1,000万円を超えると受けられません。ご自身が誰かの扶養に入っている場合は、合計所得が62万円(令和8年分から。令和7年分は58万円)を超えると外れます。
  • その他:保育料、高額療養費の自己負担限度額、児童手当なども所得で決まるものがあります。

国民健康保険の人は特に注意

国保の保険料は自治体ごとに料率が違います。申告する前に、お住まいの市区町村の料率で保険料がどれだけ増えるかを確かめてください。

申告した方がよいケース

  • 譲渡損失があり、他の口座の利益や配当と通算したいとき(申告しないと通算できません)
  • 損失を翌年以降3年間繰り越したいとき(繰越には申告が必要です)
  • 課税所得が低く、総合課税の配当控除で税金が下がるとき

給与などの所得がなく、株だけを申告する場合

総合課税の課税所得がなく、申告分離の株の所得だけがある人は、上限の計算で使う所得税の税率を15%として扱います。 上限は「住民税所得割 × 20% ÷(90% − 15.315%)+ 2,000円」です。たとえば所得割が25万円(株の所得500万円の5%)なら、上限は約6.9万円になります。 実際には基礎控除などの所得控除が株の所得から差し引かれるので、所得割はこれより少し小さくなります。

よくある質問

Q. NISAの配当や売却益は上限に関係しますか?

A. 関係しません。NISAの利益は非課税で申告もできないので、上限は変わりません。

Q. 申告するかどうかは、配当ごとに選べますか?

A. 上場株式等の配当は、1回に支払いを受けるごとに申告するかどうかを選べます。特定口座(源泉徴収あり)の売却益は、口座ごとに選びます。

Q. 申告したあとで「やっぱり申告不要にしたい」はできますか?

A. 原則としてできません。確定申告で選んだ方式を後から変えることは認められていないので、申告の前に比べてください。
配当・売却益を入れると、3つの方式で上限と税額を並べて表示します。
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