税金・ふるさと納税

マンションを売ったときの税金:譲渡所得・取得費・3,000万円控除

公開 ・ 更新

書いた人:運営者(宅地建物取引士・上場不動産会社に10年勤務・現在はサラリーマン大家)

結論

売って利益が出たら税金がかかる。ただし自宅なら3,000万円まで控除できる。

税金を左右するのは「いくらで買ったことにするか(取得費)」。契約書は捨てない。

計算の流れ

  1. 売った金額

  2. − 取得費

    土地 + 建物(使った分を引く)

  3. − 譲渡費用

    売るときの手数料など

  4. − 特別控除

    自宅なら3,000万円

  5. = 譲渡所得

    ここに税率

取得費には購入時の仲介手数料や登録免許税も含められる。譲渡費用は売るときの仲介手数料・印紙税など。

建物は「使った分」を引く

自宅の建物は「購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数」を引きます(償却率は木造0.031、RC造0.015など。6か月以上の端数は1年)。 賃貸に出していた物件は、毎年の不動産所得で引いてきた減価償却費の合計を引きます。

税率は持っていた期間で2倍近く違う

5年以下(短期)
39.63%
5年超(長期)
20.315%
自宅・10年超
14.21%(6,000万円以下の部分)
「5年」は売った年の1月1日時点で数える。2021年8月に買った物件は、2026年に売ると短期、2027年なら長期。

例:12年前に4,000万円で買った自宅を5,500万円で売る

土地1,500万円・建物2,500万円(RC造)、売るときの譲渡費用200万円。

譲渡所得まで

売った金額
5,500万円
取得費
3,595万円(建物から405万円を引く)
譲渡所得
1,705万円

税金

3,000万円控除を使う

0円

確定申告は必要

控除が使えない場合

約346万円

1,705万円 × 20.315%

住まなくなってから3年目の12月31日を過ぎて売ると、3,000万円控除は使えません。

買った値段が分からないと税金が跳ね上がる

上の例で、購入時の契約書が無い場合

契約書あり
譲渡所得 1,705万円
契約書なし
譲渡所得 5,025万円
取得費は「売った金額の5%」しか認められない(概算取得費)。
  • 土地と建物の内訳が分からないときは、契約書の消費税額から逆算するか、国税庁の「建物の標準的な建築価額表」で推定する
  • 例:2014年建築のRC造は1㎡あたり22.8万円。70㎡なら1,596万円

3,000万円控除と住宅ローン控除は同時に使えない

新居に入居した年と前2年・後3年のどこかで3,000万円控除を使うと、新居の住宅ローン控除は受けられません。買い替えのときは先に比べてください。

詳しい解説

マンションや家を売って利益が出ると、その利益(譲渡所得)に所得税と住民税がかかります。 給与などとは分けて計算する分離課税で、税率は所有期間で2倍近く変わります。 ただし自宅なら3,000万円の特別控除があり、多くの場合は税金がかかりません。 計算の要になるのは、いくらで買ったことにするか(取得費)です。

譲渡所得の計算式

譲渡所得 = 売った金額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除

  • 取得費:土地の購入代金+建物の購入代金から減価償却費相当額を引いた額。購入時の仲介手数料や登録免許税なども含められます。
  • 譲渡費用:売るときの仲介手数料、売買契約書の印紙税など。
  • 特別控除:自宅を売った場合の3,000万円など。

建物は「使った分」を差し引く

建物は年数とともに価値が減るので、購入代金から減価償却費相当額を引いた額が取得費になります。 自宅(事業に使っていない建物)の場合は、法定耐用年数の1.5倍の年数に対応する償却率で計算します。

減価償却費相当額 = 建物の購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

償却率:木造0.031、鉄筋コンクリート造0.015 など。経過年数は6か月以上の端数を1年、6か月未満を切り捨て。

賃貸に出していた物件は、この式ではなく、毎年の不動産所得で差し引いてきた減価償却費の合計を引きます。

税率は所有期間で決まる

区分所有期間(売った年の1月1日時点)税率(所得税+復興税+住民税)
長期譲渡所得5年超20.315%
短期譲渡所得5年以下39.63%
自宅の軽減税率10年超(6,000万円以下の部分)14.21%

「5年」は、実際に持っていた期間ではなく売った年の1月1日時点で数えます。 たとえば2021年8月に買った物件は、2026年に売ると1月1日時点で4年あまりなので短期、2027年に売れば長期です。 売る時期を数か月ずらすだけで税率が半分近くになることがあります。

計算例:12年前に買ったマンションを売る

2014年に4,000万円(土地1,500万円・建物2,500万円、RC造)で買った自宅マンションを、2026年に5,500万円で売ったとします。 売るときの仲介手数料などの譲渡費用は200万円、購入時の諸費用は省略しています。

項目計算金額
減価償却費相当額2,500万円 × 0.9 × 0.015 × 12年405万円
取得費1,500万円 +(2,500万円 − 405万円)3,595万円
譲渡所得(控除前)5,500万円 − 3,595万円 − 200万円1,705万円

自宅の3,000万円控除を使う場合

譲渡所得1,705万円から3,000万円を引くと0円なので、税金はかかりません(控除を受けるには確定申告が必要です)。

控除が使えない場合

住まなくなってから3年目の12月31日を過ぎて売った場合などは、3,000万円控除が使えません。 所有期間は12年で長期なので、1,705万円 × 20.315% ≒ 約346万円の税金がかかります。

購入価格が分からないとき

相続した家や昔に買った家で購入時の契約書がないと、取得費を売った金額の5%とすることになります(概算取得費)。 上の例なら5,500万円 × 5% = 275万円しか取得費にできず、譲渡所得は1,705万円から5,025万円に跳ね上がります。 契約書や領収書は、売るときまで必ず保管しておきましょう。

土地と建物をまとめて買って内訳が分からない場合は、契約書の消費税額から建物価格を逆算するか、 国税庁の「建物の標準的な建築価額表」の単価に床面積を掛けて建物価格を推定します。 たとえば2014年建築のRC造は1㎡あたり22.8万円なので、70㎡なら1,596万円です。

3,000万円控除と住宅ローン控除は同時に使えない

新しい家に入居した年と、その前2年・後3年のいずれかの年に3,000万円控除を使うと、新しい家の住宅ローン控除は受けられません。 買い替えのときは、どちらを使う方が得かを先に比べてください。

よくある質問

Q. 投資用のマンションを売った場合も3,000万円控除は使えますか?

A. 使えません。3,000万円控除は、自分が住んでいた家(または住まなくなってから3年目の年末までに売った家)だけが対象です。

Q. 売って損が出たらどうなりますか?

A. 自宅を売って損が出た場合は、条件を満たせば給与などと相殺し、翌年以降に繰り越せる特例があります。投資用の物件の売却損は、他の所得と相殺できません。

Q. 確定申告はいつしますか?

A. 売った年の翌年の2月16日から3月15日までです。税金がかからない場合でも、3,000万円控除を使うには申告が必要です。
買い替えの資金計画で、今の家を売ったときの税金を、取得費・所有期間・3,000万円控除から概算します。
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