税金・ふるさと納税
個人事業主の社会保険料の目安(国民年金と国民健康保険)とふるさと納税
公開 ・ 更新
書いた人:運営者(宅地建物取引士・上場不動産会社に10年勤務・現在はサラリーマン大家)
結論
個人事業主の社会保険料は国民年金(定額)+国民健康保険。
会社員の料率で見積もると、家族構成や所得によって数十万円ずれる。
国民年金:所得に関係なく同じ額
2026年中に払う額(1人分)
本人だけ
213,810円
所得のない配偶者の分も払う
427,620円
配偶者の分も本人の控除に入る
国民健康保険:所得に応じた額+人数分
4つの区分それぞれで「所得割(所得 − 43万円 に料率)+ 均等割(1人あたり)」を足し、区分ごとの上限で頭打ちになります。
| 区分 | 所得割 | 均等割(1人) | 上限 |
|---|---|---|---|
| 医療分 | 7.51% | 47,600円 | 670,000円 |
| 後期高齢者支援金分 | 2.80% | 17,600円 | 260,000円 |
| 介護分(40〜64歳) | 2.43% | 17,800円 | 170,000円 |
| 子ども・子育て支援金分 | 0.27% | 1,873円(18歳以上) | 30,000円 |
料率は自治体ごとに違います(23区でも中野区・江戸川区は少し違う)。
例:事業所得535万円・独身・40歳以上
国保 724,900円(100円未満切り捨て)+ 国民年金 213,810円 = 合計 938,710円
会社員の料率で見積もると、どれだけずれるか
国民年金+国保 − 会社員の料率で見積もった額
- 所得が低い → 国保の方が多い(国民年金は定額なので割合が高い)
- 所得が高い → 国保の方が少ない(上限で頭打ち。独身ならおおむね730万〜970万円で上限に届く)
- 家族が多い → 国保の方がずっと多い(扶養の考え方がなく、家族全員に均等割がかかる)
ふるさと納税の上限への影響
例:事業収入 − 経費600万円・独身・40歳未満
会社員の料率で見積もり
117,280円
国民年金+国保で計算
119,665円
今年の国保は前年の所得で決まる
所得が前年から大きく変わった人は、前年の所得で計算してください。所得が低い世帯の均等割の軽減(7割・5割・2割)は入れていないので、所得がおおむね100万円未満なら実額より多めに出ます。
詳しい解説
会社員の社会保険料は、額面の給与におおよそ15%前後の料率を掛ければ見当がつきます。 個人事業主は仕組みがまるで違い、国民年金(定額)と国民健康保険(所得に応じた額+人数に応じた額、上限あり)の組み合わせです。 会社員の料率で見積もると、所得帯や家族構成によっては数十万円ずれます。 社会保険料はそのまま所得控除になるので、このずれはふるさと納税の上限にも響きます。
国民年金は所得に関係なく定額
国民年金保険料は、令和7年度が月17,510円、令和8年度が月17,920円です。所得がいくらでも同じ額で、上限もありません。 ふるさと納税の上限は寄附した年(1〜12月)の控除で決まるので、年度ではなく暦年で数えます。 2026年中に納める額は、1〜3月が令和7年度、4〜12月が令和8年度の額なので、1人あたり次のとおりです。
17,510円 × 3か月 + 17,920円 × 9か月 = 213,810円
所得のない配偶者の国民年金を本人が払っている場合は、その分も本人の社会保険料控除に入れられます。夫婦なら427,620円です。
国民健康保険は「所得割+均等割」を4つの区分で
国民健康保険料は、医療分・後期高齢者支援金分・介護分(40〜64歳)・子ども・子育て支援金分(令和8年度から)の4つに分かれていて、 それぞれ「所得割」と「均等割」を足し、区分ごとの上限(賦課限度額)で頭打ちになります。 所得割は、前年の所得から基礎控除43万円を引いた額(旧ただし書き所得)に料率を掛けます。
料率は自治体ごとに違います。23区でも中野区と江戸川区は少し違い、市町村ではさらに差があります。 ここでは東京23区の料率を代表として使っています。
計算例:事業所得535万円(事業収入−経費600万円、青色申告特別控除65万円)・独身・40歳以上
| 区分 | 計算 | 保険料 |
|---|---|---|
| 所得割の基準 | 5,350,000 − 430,000 | 4,920,000円 |
| 医療分 | 4,920,000 × 7.51% + 47,600 | 417,092円 |
| 後期高齢者支援金分 | 4,920,000 × 2.80% + 17,600 | 155,360円 |
| 介護分 | 4,920,000 × 2.43% + 17,800 | 137,356円 |
| 子ども・子育て支援金分 | 4,920,000 × 0.27% + 1,873 | 15,157円 |
| 国民健康保険 合計 | 100円未満切り捨て | 724,900円 |
| 国民年金 | 2026年中の1人分 | 213,810円 |
| 合計 | 938,710円 |
会社員の料率で見積もるとどれだけずれるか
「事業収入−経費」を額面の給与とみなして会社員の料率で見積もった額と、国民年金+国民健康保険で計算した額を比べます (青色申告特別控除65万円、東京23区の料率)。
| 事業収入−経費 | 家族・年齢 | 会社員の料率 | 国民年金+国保 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 独身・40歳以上 | 466,200円 | 548,410円 | +82,210円 |
| 600万円 | 独身・40歳未満 | 884,400円 | 801,410円 | −82,990円 |
| 600万円 | 独身・40歳以上 | 932,400円 | 938,710円 | +6,310円 |
| 600万円 | 夫婦+子2人・40歳以上 | 932,400円 | 1,369,720円 | +437,320円 |
| 1,000万円 | 独身・40歳以上 | 1,554,000円 | 1,339,710円 | −214,290円 |
| 2,000万円 | 独身・40歳以上 | 2,000,772円 | 1,343,810円 | −656,962円 |
ずれ方が所得帯で逆になる理由
- 所得が低いと、国民年金+国保の方が多い:国民年金は定額なので、所得が低いほど所得に対する割合が高くなります。
- 所得が高いと、国民年金+国保の方が少ない:国保には区分ごとの上限があり、独身なら事業収入−経費がおおむね730万円(介護分)〜970万円(支援金分)で順に上限に届きます。それ以上は所得が増えても保険料はほとんど増えません。
- 家族が多いと、国保の方がずっと多い:国保には扶養という考え方がなく、家族全員に均等割がかかります。配偶者の国民年金も加わります。会社員の健康保険なら、扶養家族が何人いても保険料は変わりません。
ふるさと納税の上限への影響
社会保険料は全額が所得控除になるので、見積もりが多すぎれば上限は小さく、少なすぎれば上限は大きく出ます。 たとえば事業収入−経費600万円・独身・40歳未満では、会社員の料率で見積もると保険料を8万円ほど多く見て、上限は117,280円になります。 国民年金+国保で計算すると上限は119,665円です。
この例では差は2千円あまりですが、家族が多い場合や所得が高い場合は保険料の差が数十万円になり、上限の差も大きくなります。 上限を多めに見積もって寄附しすぎると、超えた分は自己負担になります。
今年の国保は前年の所得で決まる
国民健康保険料は前年の所得をもとに決まります。今年の所得が前年から大きく変わる場合は、今年払う保険料は前年の所得で計算してください。 実際の保険料は、自治体から届く納入通知書で確かめるのが確実です。
所得が低い世帯には均等割の軽減(7割・5割・2割)があります。上の計算には入れていないので、所得がおおむね100万円未満の世帯では実額より多めに出ます。
よくある質問
Q. 国民年金を前納(まとめ払い)するとどうなりますか?
Q. 国民健康保険料はいつ決まりますか?
Q. 付加年金・国民年金基金・iDeCoの掛金はどの控除ですか?
参考にした資料
- 日本年金機構「国民年金保険料の変遷」
- 東京都保健医療局「令和8年度 特別区国民健康保険料一覧表」
- 国税庁 No.1130 社会保険料控除
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記事は一般的な仕組みの解説で、個別の税務判断や契約の助言ではありません。税額や手続きは、税務署・自治体・税理士などにご確認ください。