不動産実務

精算金をお客様に案内する文面の書き方(仕組みを伝え、内訳は精算書へ)

公開 ・ 更新

書いた人:運営者(宅地建物取引士・上場不動産会社に10年勤務・現在はサラリーマン大家)

結論

案内文には「なぜ払うのか」だけ書く。

計算の内訳は精算書に任せる。

内訳を並べると伝わらない

✕ 内訳を並べる

固定資産税 120,000円 × 99日 ÷ 365日 = 32,547円 管理費 18,000円 × 7日 ÷ 30日 = 4,200円 …

○ 仕組みを伝える

固定資産税は1年分を日割りしております。 決済日以降の分は買主様のご負担のため、残代金に上乗せしてご送金いたします。

  • 数字が並ぶと「計算が合っているか」に目が行き、仕組みが残らない
  • 精算書と二重に書くと、片方を直したときに食い違う
  • スマホでは数式が折り返されて読みにくい

そのまま使える文例

自社が買主側の例です。「○」を実際の日付・日数に置き換えてください。

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税は、1月1日〜12月31日(1年分)で日割り精算しております。 決済日以降の○日分は買主様のご負担となりますので、残代金に上乗せしてご送金いたします。

4月1日起算の地域は「4月1日〜翌年3月31日」に(起算日の違い)。

管理費・修繕積立金

管理費・修繕積立金は、毎月○日に翌月分が口座振替となっております。 引落しの切り替えは○月分からとなりますので、○月分まではこれまでどおり売主様の口座から引き落とされます。 その分と、決済日以降○日分をあわせて、残代金に上乗せしてご送金いたします。

賃料(管理会社が別の場合)

賃料は、○月分を売主様がすでにお受け取りになっています。 管理替えに時間を要するため、管理の切り替えは○月を予定しており、○月分まではこれまでどおり管理会社様から売主様へお支払いされます。 その分と、決済日以降○日分をあわせて、残代金より差し引いております。

賃料(管理会社が買主を兼ねる場合)

○月分の賃料はすでに売主様へご送金済みのため、決済日以降○日分は残代金より差し引かせていただいております。

最後に合計と精算書

以上を反映した残代金は ○○○円 です。 日数や計算の詳細は、添付の精算書をご確認ください。

「いたします」か「いただきます」か

自社が買主側(買主様に案内)

…ご送金いたします

自社が売主側(売主様に案内)

…ご送金いただきます

精算金はどの項目でも残代金に乗って買主 → 売主へ動く。変わるのは「上乗せ」か「差し引き」かだけ。

よくある書き間違い

敬語は「負担する側」ではなく「自社の立場」で選びます。賃料を差し引く場面で負担者に合わせると、買主側なのに「ご送金いただきます」と書いてしまいます。

詳しい解説

決済の前に、精算金の金額をLINEやメールでお客様へ送る場面はよくあります。 そのとき、つい「年税額◯円 × ◯日 ÷ 365日 = ◯円」と計算の内訳を並べたくなりますが、 お客様が本当に知りたいのは「なぜこのお金を払う(受け取る)のか」です。 計算の内訳は精算書に書いてあるので、案内文では仕組みを伝え、細かい数字は精算書を見てもらうのが伝わりやすい書き方です。

内訳を並べると伝わりにくい理由

  • 日数や分母の数字が並ぶと、お客様は「計算が合っているか」を確かめる方に意識が向き、肝心の仕組みが残らない。
  • 精算書と案内文の両方に内訳があると、どちらかを直したときに食い違う。
  • スマホの画面では数式が折り返されて読みにくい。

案内文は「何の精算で、どちらの負担で、残代金にどう反映したか」を一言ずつ。 金額は合計を示し、内訳は「添付の精算書をご確認ください」とするのが基本形です。

項目ごとの文例

以下は自社が買主側(買主様に案内する立場)の例です。「○」の部分は実際の日付・日数に置き換えてください。

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税は、1月1日〜12月31日(1年分)で日割り精算しております。 決済日以降の○日分は買主様のご負担となりますので、残代金に上乗せしてご送金いたします。

起算日を4月1日とする地域では「4月1日〜翌年3月31日」と書き換えます。起算日の考え方は固定資産税・都市計画税の日割り精算の仕組みをご覧ください。

管理費・修繕積立金

管理費・修繕積立金は、毎月○日に翌月分が口座振替となっております。 引落しの切り替えは○月分からとなりますので、○月分まではこれまでどおり売主様の口座から引き落とされます。 その分と、決済日以降○日分をあわせて、残代金に上乗せしてご送金いたします。

賃料(管理会社が別の場合)

賃料は、○月分を売主様がすでにお受け取りになっています。 管理替えに時間を要するため、管理の切り替えは○月を予定しており、○月分まではこれまでどおり管理会社様から売主様へお支払いされます。 その分と、決済日以降○日分をあわせて、残代金より差し引いております。

賃料(管理会社が買主を兼ねる場合)

○月分の賃料はすでに売主様へご送金済みのため、決済日以降○日分は残代金より差し引かせていただいております。

最後に合計と精算書の案内

以上を反映した残代金は ○○○円 です。 日数や計算の詳細は、添付の精算書をご確認ください。

「いたします」と「いただきます」の使い分け

精算金は、どの項目でも残代金に乗って買主から売主へ動きます。 誰が負担するかで変わるのは「上乗せ」か「差し引き」かだけです。 そのため、送金を「いたします」と書くか「いただきます」と書くかは、自社が買主側か売主側かで決まります。

  • 自社が買主側(買主様に案内)… 「残代金に上乗せしてご送金いたします」
  • 自社が売主側(売主様に案内)… 「残代金に上乗せしてご送金いただきます」

よくある書き間違い

賃料のように売主様の負担で「差し引く」項目のとき、負担する側に合わせて敬語を選ぶと、自社が買主なのに「ご送金いただきます」と書いてしまい、相手に送金を求める文になります。敬語は負担する側ではなく、自社の立場で選びます。

よくある質問

Q. 案内文はいつ送るのがよいですか?

A. 固定資産税の年税額や管理費の引き落とし状況を確かめて金額が固まったら、精算書と一緒に決済の数日前までに送ります。

Q. 端数の処理(切り捨てなど)は案内文に書くべきですか?

A. 案内文には不要です。精算書に端数の処理を書いておけば足ります。聞かれたら契約書の定めを示します。

Q. LINEで送っても問題ありませんか?

A. お客様が了承していれば問題ありません。金額の根拠になる精算書はPDFで添付し、後から見返せる形で残しておくと安心です。
自社の立場を選ぶと、項目ごとの説明と合計を入れた案内文を自動で作ります。LINE・メールにそのまま貼れます。
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記事は一般的な仕組みの解説で、個別の税務判断や契約の助言ではありません。税額や手続きは、税務署・自治体・税理士などにご確認ください。