不動産実務

支払明細書(仕入明細書)の書き方:請求書が届かないときに支払う側で作る(インボイス対応)

公開 ・ 更新

書いた人:運営者(宅地建物取引士・上場不動産会社に10年勤務・現在はサラリーマン大家)

結論

請求書が届かないときは、支払う側が明細書を作って保存すればよい(仕入明細書)。

条件は2つ:相手の登録番号を書くこと、相手の確認を受けること。

流れ

  1. 自社が明細書を作る

    相手の登録番号・税率ごとの消費税

  2. 相手に送る

    メール・システムなど

  3. 相手が確認

    返信/一定期間内に連絡なし

  4. 保存して控除

確認を受けた明細書は、仕入税額控除の書類として保存できる。

書くこと

  1. 作った人(自社)の名前
  2. 支払先の名前と登録番号
  3. 取引の日付
  4. 内容(軽減税率の対象ならその旨)
  5. 税率ごとの合計金額と税率
  6. 税率ごとの消費税額

請求書との違い

必要なのは相手の登録番号(自社の番号ではない)。相手が免税事業者なら適格な明細書にはなりません(別に経過措置あり)。

相手の確認の受け方(3通り)

相手の端末で確認

システム

受発注システムなどで確認の通信を受ける

確認の返信をもらう

メール

「確認しました」の返信も一緒に保存

期間内に連絡がなければ確認

取り決め

基本契約か明細書への記載で、相手の了承を得る

3つ目は、一方的に送るだけでは足りません。日数まで書く必要はありませんが、相手と認識を合わせておきます。

消費税の端数は税率ごとに1回

税抜 12,345円と23,456円の2行(10%・切り捨て)

✕ 行ごとに切り捨てて合計

3,579円

1,234円 + 2,345円

○ 合計35,801円に1回

3,580円

個人への支払いは源泉徴収

例:デザイン料 税込330,000円(税抜300,000円)

源泉徴収税額

30,630円

差し引いて支払う額

299,370円

100万円以下の部分は10.21%、超える部分は20.42%。消費税を区分していれば税抜の額で計算できる。不動産の紹介料は通常は対象外。
詳しい解説

紹介料や業務委託料を支払うとき、相手の請求書が届かない、または届くのが遅くて社内の支払申請に間に合わないことがあります。 そのようなときは、支払う側が作る支払明細書(仕入明細書)を、仕入税額控除のための書類として保存できます。 インボイス制度のもとでの書き方と、相手方の確認の受け方をまとめました。

記載事項(インボイス制度のもとでの仕入明細書)

  1. 書類の作成者(支払う側=自社)の氏名または名称
  2. 課税仕入れの相手方(支払先)の氏名または名称と登録番号
  3. 課税仕入れを行った年月日
  4. 資産または役務の内容(軽減税率の対象ならその旨)
  5. 税率ごとに合計した支払対価の額と適用税率
  6. 税率ごとに区分した消費税額等

請求書との違い

必要なのは支払先(相手方)の登録番号です。自社の登録番号は記載事項ではありません。 相手方が適格請求書発行事業者でない(免税事業者など)場合は、適格な仕入明細書にはなりません(免税事業者からの仕入れには別に経過措置があります)。

相手方の確認の受け方

仕入明細書は、相手方の確認を受けたものに限って仕入税額控除に使えます。国税庁のQ&Aでは、確認の方法として次のような例が挙げられています。

  • 相手方の端末で確認してもらう:受発注システムなどで内容を出し、確認の通信を受ける。
  • メール等で送り、確認の返信をもらう:明細書を送り、「確認しました」の返信を明細書と一緒に保存する。
  • 「一定期間内に誤りの連絡がなければ確認があったものとする」:基本契約で取り決めるか、 その旨を明細書に書いたり通知文書を添えたりして送り、相手方の了承を得る。一方的に送るだけでは足りません。 期間は具体的な日数まで書く必要はありませんが、相手方と認識を合わせておきます。

消費税の端数処理は税率ごとに1回

消費税額の端数処理は、1枚の書類につき税率ごとに1回です。行ごとに端数を処理して合計すると、要件を満たさない金額になることがあります。

税抜 12,345円 と 23,456円 の2行(10%・切り捨て)
計算のしかた消費税額
行ごとに切り捨てて合計(誤り)1,234円 + 2,345円 = 3,579円
合計 35,801円 に対して1回(正しい)3,580円

個人への支払いは源泉徴収に注意

個人に支払うデザイン料・原稿料・講演料などは、源泉徴収が必要です(100万円以下の部分は10.21%、超える部分は20.42%)。 消費税額を明細書で区分していれば、税抜の額に対して計算できます。例えば税込330,000円(税抜300,000円)なら源泉徴収税額は30,630円、 差引の支払額は299,370円です。不動産の紹介料は、通常は源泉徴収の対象ではありません。

よくある質問

Q. 請求書と支払明細書の両方がある場合はどうしますか?

A. どちらか一方を保存すれば足ります。同じ取引を両方で二重に控除しないよう注意してください。

Q. 支払明細書はいつまで保存しますか?

A. 確定申告の期限の翌日から7年間です。電子で受け取ったものは、電子のまま保存します。

Q. 税込1万円未満の少額の取引でも必要ですか?

A. 基準期間の課税売上高が1億円以下などの事業者は、税込1万円未満の取引について帳簿だけで仕入税額控除ができる特例があります(令和11年9月30日まで)。
記載事項がそろった支払明細書を作成・印刷できます。端数処理・確認の文言・源泉徴収にも対応しています。
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記事は一般的な仕組みの解説で、個別の税務判断や契約の助言ではありません。税額や手続きは、税務署・自治体・税理士などにご確認ください。